採血における合併症

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採血の合併症について

採血は、病気の診断や治療効果の確認のために必要な医療行為です。当院では国家資格を持つ看護師が、 十分な知識と経験に基づき、安全に配慮しながら採血を行っております。合併症の発生頻度は少なく、 また多くは軽度ですが、まれに以下のような症状がみられることがあります。万が一起こった場合には、 適切な対応を行いますのでご安心ください。なお、診察が必要となった場合は通常の保険診療となります。

また、血液をサラサラにする薬を服用中の方・血液透析中の方・静脈ポートをご使用の方は 特別な配慮が必要となりますので、必ず採血前にお知らせください。

1. アレルギー反応

消毒液・手袋(ラテックス)・紙テープなどにより、かゆみや発疹などのアレルギー症状が出る場合があります。 過去にアレルギー症状があった方は、必ず採血担当者へお申し出ください。また、当院ではアルコール綿を使用しています。 アルコールに敏感な方は赤み・かゆみ・腫れが出ることがあります。事前にお伝えいただければ、 アルコールを使用しない消毒薬に変更いたします。

2. 止血困難・皮下血腫(青あざ)

採血後に血が止まりにくい、または皮下出血(青あざ)がみられることがあります。 主な原因は採血後の圧迫不足です。採血後は、親指で5分以上しっかりと圧迫し、 決して揉まないでください。内出血は通常数日で自然に吸収されます。 血液をサラサラにする薬を服用している方や出血しやすい体質の方は、 必ずスタッフにお知らせください。

採血後の内出血

内出血とは、一般的に「あざ」と呼ばれ、医療用語では「皮下出血」といいます。採血後に内出血が起こる原因としては次のようなものがあります。

1. 血管を探している間に血管外に血液が漏れた

採血では、針を刺す前に上腕を軽く圧迫し、刺しやすい血管を探します。しかし、人によっては刺した直後に血管が動いてしまうことがあり、その際に一度開いた血管の穴から血液が漏れ、内出血につながる場合があります。

2. 採血中に腕が動いてしまった

採血中に腕が動くと、血管や針の位置がずれてしまうことがあります。位置がずれると血管以外の部分に傷がつき、その部分から血液が漏れることで内出血が起こってしまいます。

3. 採血中の針の固定が不十分だった

採血時は、針が血管を貫通しないよう浅めの角度で刺します。このため、針の固定が不十分だと位置がずれやすく、穿刺部位とは異なる場所に針先が触れてしまい、そこから血液が漏れることで内出血が生じる場合があります。

4. 採血後の圧迫が不足していた

採血後に十分な圧迫が行われないと、穿刺部位から血液が漏れ、内出血の原因になります。揉むと皮膚と血管の間に血液が広がり、より大きな内出血につながるため、採血後は“揉まずにしっかり圧迫”することが大切です。

内出血になりやすいのはどんな人?

次のような方は、採血後に内出血が起こりやすい傾向があります。

  • 高齢の方
  • 血管が細い方
  • 血管が深く見えにくい方
  • 採血後の圧迫が不十分な方
  • 採血部位を揉んでしまう方
  • 血液をサラサラにする薬を服用している方

内出血を防ぐために

採血後の内出血を防ぐ最も重要なポイントは、「5分以上しっかり圧迫すること」です。

内出血予防のポイント

  • 止血を5分以上しっかり行う
  • 穿刺部分を正しく押さえる
  • 圧迫中は揉まない
  • 採血した腕に負荷をかけ過ぎない

内出血が起きてしまった場合

内出血は自然に改善し、7~10日ほどで消えていきます。色は「青紫 → 赤紫 → 黄色」というように変化しながら吸収されていきます。痛みがある場合は、アイスノンをガーゼタオルで包んで軽く冷やすと和らぐことがあります。

採血時、その後にしびれがある場合は?

採血時のしびれについて

採血の際、血管の近くには細い神経が走っていることがあり、ごくまれに針が神経に触れて、しびれや電気が走るような感覚、痛みを感じることがあります。 特に、血管が見えにくい場合などには、やむを得ず神経に近い部位を選択することがあります。採血中や注射中に指先まで響くようなしびれや強い痛みを感じた場合は、すぐにスタッフへお知らせください。 その際は速やかに穿刺を中止し、必要に応じて別の部位で採血を行います。

針を抜いた後もしびれや違和感が残ることがありますが、多くは一時的なもので、数日〜1週間程度で自然に軽快します。

神経損傷について

採血時には神経を損傷しないよう十分注意しておりますが、神経と血管の位置関係には個人差があるため、ごくまれに細い皮神経に針が触れ、軽度の神経損傷が生じることがあります。発生頻度は1万回~10万回に1回程度と報告されており、重い後遺症が残ることは極めてまれです。症状として、しびれや痛み、違和感がしばらく続くことがありますが、多くは1週間以内、ほとんどは3か月以内に自然に改善します。ただし、まれに数か月以上症状が続く場合があります。

なお、肘部での採血が安全でないと判断した場合には、前腕や手の甲から採血を行うことがあります。 安全確保のための対応となりますので、ご理解ください。

採血後や注射後に、しびれや痛みが強い場合、長く続く場合には、遠慮なく当院へご相談ください。

血管迷走神経反応について

採血時の緊張や不安などにより、自律神経が刺激され、一時的に血圧が低下して、めまい・気分不快感・冷や汗・意識が遠のく感じや、まれに失神を起こすことがあります。これを血管迷走神経反応といいます。

発生頻度は1%以下と報告されておりますが、次のような方は血管迷走神経反応が起こりやすい傾向があります。

  • 採血が初めての方
  • 過去に採血や注射で、めまいや気分不快感、意識が遠のいた経験のある方
  • 緊張や不安が強い方

採血前・採血中・採血後に、少しでも気分が悪い、めまいがする、しんどいと感じた場合は、すぐにスタッフへお知らせください。状況に応じて、ベッドに横になった状態での採血や休憩など、安全に配慮した対応を行います。